影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
刃を返し、呼吸を整える。

そういえば他の仲間は大丈夫だろうか。

頭領の護衛をずっと続けていた為、他の忍を気遣う余裕はあまりなかった。

半助、平吉、五郎、右近。

俺と共に行動していた下忍の配下達。

そして…俺は手にした忍者刀を見る。

百合。

あいつは我慢がきかない所がある。

焦れて無鉄砲な行動に出てはいないだろうか。

…そんな風に戦場で他所事に気を回していたのがいけなかった。

「!」

突然左手に巻きつく鎖。

忍具の一つ、鎖分銅だ。

「成程、離れた場所から動きを封じる事ができる。これはいい」

鎖分銅を放った兵士が言った。

「甲賀の隠密ども、なかなかいい武器をくれたものだ」


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