影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
この砦に篭城したのは生き残りの伊賀隠密と、戦う力を持たない女子供。
当然大した蓄えもなく、備蓄の続く限り、最後の抵抗を試みようという場当たり的な戦術だった。
信長もその事はとうに見抜いている。
散発的な攻めしか行わないものの、それだけでも十分こちらを疲弊させる事ができるのを読んでいた。
事実、伊賀忍軍は悪戯に戦力と備蓄を消費し、白旗を振るか、飢え死にするかのどちらかしかないという状態だった。
それでも、非戦闘員は残る兵糧を、私達隠密に譲ってくれた。
文字通り腹が減っては戦は出来ぬ。
守られるしかできない私達よりも、あなた達が食糧は優先すればいいと。
幼子までもがそう言って、自分の食糧を私に譲ってくれるのだ。
…たまらなかった。
ここまでしてくれるのに、信長の軍を蹴散らす事ができない己の無力さ。
歯噛みするしかなかった。
当然大した蓄えもなく、備蓄の続く限り、最後の抵抗を試みようという場当たり的な戦術だった。
信長もその事はとうに見抜いている。
散発的な攻めしか行わないものの、それだけでも十分こちらを疲弊させる事ができるのを読んでいた。
事実、伊賀忍軍は悪戯に戦力と備蓄を消費し、白旗を振るか、飢え死にするかのどちらかしかないという状態だった。
それでも、非戦闘員は残る兵糧を、私達隠密に譲ってくれた。
文字通り腹が減っては戦は出来ぬ。
守られるしかできない私達よりも、あなた達が食糧は優先すればいいと。
幼子までもがそう言って、自分の食糧を私に譲ってくれるのだ。
…たまらなかった。
ここまでしてくれるのに、信長の軍を蹴散らす事ができない己の無力さ。
歯噛みするしかなかった。