影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
初代はどうだったか知らないが、当時から俺は頭領に一目置かれていた。
他の下忍達に比べてその能力は突出しており、下忍でありながら既に中忍級の実力を持つと、頭領直々のお墨付きをもらっていた。
…頭領はそんな俺の腕を買って、信玄暗殺の大任を俺に任せてくれた。
しかし、あくまで他の里の者達には極秘。
特に父上…初代下山甲斐には絶対に口外せぬよう強く言われた。
…当時の初代でさえ、これほどの大任は任された事はなかった。
これほどの有力な武将の暗殺をたった一人でこなすなど、隠密としてこんな名誉な事はあるまい。
その大任を、伊賀十人衆の初代ではなく、その息子…しかも僅か十三の子供に任されたのだ。
もし本人が知れば、どれ程の屈辱を受けるだろう。
…結論から言えば、暗殺は成功した。
厳重な警備、十重二十重の陣、武田信玄お抱えの隠密集団『乱破衆』。
それらを全て突破し、俺は武田信玄の寝所に侵入。
彼奴めの息の根を止め、捕縛される事なく脱出した。
…武田軍は慌てる。
まさか僅か十三歳、元服も迎えていない少年隠密に、信玄の首を取られたなどとは絶対に認める訳にはいかない。
故に世間一般には、武田信玄は病死という事になっているのだ。
他の下忍達に比べてその能力は突出しており、下忍でありながら既に中忍級の実力を持つと、頭領直々のお墨付きをもらっていた。
…頭領はそんな俺の腕を買って、信玄暗殺の大任を俺に任せてくれた。
しかし、あくまで他の里の者達には極秘。
特に父上…初代下山甲斐には絶対に口外せぬよう強く言われた。
…当時の初代でさえ、これほどの大任は任された事はなかった。
これほどの有力な武将の暗殺をたった一人でこなすなど、隠密としてこんな名誉な事はあるまい。
その大任を、伊賀十人衆の初代ではなく、その息子…しかも僅か十三の子供に任されたのだ。
もし本人が知れば、どれ程の屈辱を受けるだろう。
…結論から言えば、暗殺は成功した。
厳重な警備、十重二十重の陣、武田信玄お抱えの隠密集団『乱破衆』。
それらを全て突破し、俺は武田信玄の寝所に侵入。
彼奴めの息の根を止め、捕縛される事なく脱出した。
…武田軍は慌てる。
まさか僅か十三歳、元服も迎えていない少年隠密に、信玄の首を取られたなどとは絶対に認める訳にはいかない。
故に世間一般には、武田信玄は病死という事になっているのだ。