COLORS【紫】パープルA
赤と青
 「青山藍(あおやまあい)を預かっている。身代金は三百万、いいな。期限は今日の午後五時までだ。受け渡し場所は──」

「あんたさ、どうでもいいけど電話番号間違えてない?」

「は?」

「ここは『パープルA』、ごく普通の花屋だ。青山藍なんて女知らねぇな」

「……何?とぼけるのもいい加減にしろ!!」

「じゃ、俺は配達で忙しいんで」


――ガチャン……ツーツー……。


「切れちまいやがった……おい、お前嘘ついたな」
受話器を片手に男は怒っている。

「嘘な訳ないでしょ!!私は花屋パープルAの店員、青山藍。電話に出たのは店主の赤城廉(あかぎれん)。でも……」

「なっ……なんだよ」
彼女の視線が怪しく光り、その眼光に負けて男は畏縮する。

「身代金なんて要求しても無駄よ。連続誘拐犯さん」
腕を結んでいた縄がパラッとほどける。

「お……お前、一体……何者だ?」


「やだなぁ~さっきから言ってるでしょ。ただの『花屋』です」
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