COLORS【紫】パープルA
「……朝か」

午前八時三十三分二十一秒。目を覚ましたのは車内の窮屈さのせいか、それともこのキラキラと輝いて眩しい日差しのせいか。

なんにしても私は眠気眼をこすりながら一欠伸した。

「よっ!おはよ」

廉は窓を開けてタバコを吸っていた。交代で寝ながら見張ろうと言っていたんだけどな……。

いつの間にか熟睡してしまった。

「……起こしてくれればよかったのに」

「お前があまりにも気持ちよさそうに寝てたもんで」

「……」
着衣の乱れを思わず確認してしまう。

「私が寝てる間に変なことしてないでしょうね?」

「ば~か。安心しろ、無防備なお前を襲うほど俺は卑怯な男じゃねぇよ」

安心……ね。

「廉……ずっと起きてたの?」

「まぁな、こんなことは別に珍しくねぇだろ。俺たちにとってはな」

「そうだけど」

「その分、お前には今日徹夜してもらうから!覚悟しておけよ」

「はぁ~い」

どうやら異常はなかったみたい。
……だけど。

私は昨日のペットボトルの残りを眠気覚ましに一気飲みした。
< 10 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop