COLORS【紫】パープルA
「申し遅れました。私の名前は赤城廉、こっちが助手の青山藍です」
そ、『助手』のね。

「『パープルA』聞いたことがあります。確か警視庁の秘密組織……と」

「大正解!!俺たちも漸くは名が売れてきたか」

「ほら、バカなこと言ってないで本題に入りなさいよ」

『さくら湯』の目の前にある喫茶店『ムゲン』。
なんてことはない、普通の喫茶店。
私たちはアイスコーヒーを三つ頼み、テーブルに届けられたところで本題に入ることにした。

「単刀直入に言う……北沢真帆につきまとう目的は何だ?」
そうそう。

「シラを切っても無駄よ。あんたが孤児院時代に真帆さんと兄妹のように仲がよかったのはこっちは調査済みなんだから」

「……そう……ですか」

沈黙の時が流れる。
店内に流れるゆったりとしたジャズが耳に響く。

「約束だったんですよ。真帆が二十歳になったらもう一度あのヒマワリを見に行こうって」

あっ……『写真』の。
私は彼女の家でみた一枚の写真を思い出した。

「ヒマワリ?」

「でももう忘れてしまってますよ。今や日本中の注目の的、女優『北沢真帆』なんだから。そんな幼少の頃の約束なんて忘れて当然です」

「そこまで分かってるならどうして拘るんだ?」

「今の真帆は真帆じゃないからだよ」

「何言ってるの?」

「女優?世の中をバカにしてるよ。あいつが女優なんて……さ。自分の過去を隠して涼しい顔しているなんておかしいじゃねぇか!!どうせあの頃のことはあいつの中では汚点でしかないんだよ!!」


――パシッ!


私は立ち上がって彼の頬を右手で思いっきり平手打ちしてた。
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