遊女と経営者の恋愛事情

「……なら…ここを出て行く必要…――」


「ううん。私、一人で試したいから…」


今、龍也さん…。
私が聞きたかった事を言ってくれた…?
屋敷に残っていいって
言ってくれた…。


でもね…。
私…ここに居たらきっと…
今よりもっと龍也さんの事を
好きになってしまうと思う…。


それじゃあ…前に進めないから……。


だから……。


「…そうか。わかった」


「……明日には行くね。今まで本当に、ありがとう。お世話になりました」


今にも零れてしまいそうな涙を
歯を食いしばってぐっと堪えて
頭を下げた。


< 187 / 236 >

この作品をシェア

pagetop