遊女と経営者の恋愛事情
「……なら…ここを出て行く必要…――」
「ううん。私、一人で試したいから…」
今、龍也さん…。
私が聞きたかった事を言ってくれた…?
屋敷に残っていいって
言ってくれた…。
でもね…。
私…ここに居たらきっと…
今よりもっと龍也さんの事を
好きになってしまうと思う…。
それじゃあ…前に進めないから……。
だから……。
「…そうか。わかった」
「……明日には行くね。今まで本当に、ありがとう。お世話になりました」
今にも零れてしまいそうな涙を
歯を食いしばってぐっと堪えて
頭を下げた。