遊女と経営者の恋愛事情
「はぁはぁ…遠いっ……はぁっ…」
どれぐらい走ったのだろうか…。
とにかく走れる間は走って
疲れたら歩いてを繰り返して
やっと…屋敷へと着いた。
息を切らしながら屋敷へ入ると
真っ先に龍也さんの部屋へと向かう。
一段一段階段を上がり
龍也さんの部屋の前まで来ると
一息付く間もなく勢いよく部屋へと入った。
「……結衣?何してる?」
「ハァッ…何…してるじゃ……ハァッ…ないでしょ…ハァハァ……」
ズカズカと歩いて
龍也さんの目の前に立ち
握り締めていた手帳を胸へ押し付ける様にと龍也さんへ差し出した。