遊女と経営者の恋愛事情
「遅くなって…すみません」
頭を下げた後、龍也さんは
仏花を添えてお線香を立てた。
その隣りにあるお墓にも
同じ事をする龍也さん…。
「…え?」
「この墓は、俺の親父の墓だ。どうして…隣りに立てちまったんだろうな……」
苦笑いを浮かべては
どこか寂しそうにお墓を見つめる。
龍也さん…。
つらいのは…私だけじゃないんだ…。
龍也さんだって…つらいんだ…。
なのに…私を気にかけてくれて…。