遊女と経営者の恋愛事情
過去は過去って言ってた龍也さんが
実は……一番過去を気にしていたのかもしれない…。
記憶の無くした私よりもずっと…。
過去に縛られて生きて来たのは
龍也さんなのかもしれない…。
私は…この人の…。
何を見て来たんだろうか…。
龍也さんの本当の優しさを
今になって気付くなんて…。
この人は…ずっと、どんな気持ちで…
私の傍に居たんだろうか…。
「…これで、いつでも来れるな。しっかり場所を覚えておけな」
煙草に火を付けると
一口だけ吸って火を付けたまま
龍也さんのお父さんのお墓へと煙草を添えた。