遊女と経営者の恋愛事情

「……いい思い出ばかりじゃねぇけどな」


龍也さんは足の手当てを終えると
私の隣りへトサッと腰を下ろす。


「………………」


「思い出があろうがなかろうが…進む道はただ一つだろ」


「………未来?」


「よく、分かったな。馬鹿にしちゃ偉いじゃねぇか」


悪戯に笑いながらそう言うと
真剣な眼差しで私を見つめる。


「…過去の事が気になんのはわからなくもねぇけど…お前はお前だろ。過去があるから今があんだから。深く考えるな」


この人でも、まともな事言ったりするんだ…。
今の言葉…すごく…ホッとしたよ…。


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