死神少女

「お前を連れて来た理由は……」


輝はくぃっとあたしの顎を掴んだ。


「ーーーいい。今はまだ止めておこう」


「…っ放して!」


胸を押して輝を放してキッと睨む。


「ここまで連れて来ておいて…理由も喋らないつもり?」


「いずれ分かるさ。それより…覚えておけ。……人を殺る事も重罪だが、人の運命を変える事もまた重罪だと言う事を」





「…分かった。覚えておくわ」


運命を変える事は重罪…?
知ってるよ。


知っててやるの。


もしかして、あなたは今からあたしがやろうとしている事に気づいている?


やっぱり分からない。
あいしれない。


呟いてみた。

「…見えてるよ」


ーあなたの頭上に浮かぶ陰がー


「…は?何?」


「別に」



心のどこかで、
あなたを掴んでみたいと…ほんの少し感じた。


< 29 / 38 >

この作品をシェア

pagetop