恋花火
沈黙…

てか何しゃべったら
いいの??


長い沈黙を破ったのは
松村くんだった。


「濡れてない??」


傘を私の方に傾けると
首を傾げて聞いてきた。


「う…うん大丈夫だよ!」

私は緊張を
慌てて隠しながら
返事をした。


「にしても、高木(要)
と北山(彼方)って
仲良しだよなぁ…」


松村くんが
遠い目をしながら言った。

「そうだよね…小学生の頃から仲良しだから…」


「だからかぁ…」


松村くんは小さく笑った。

家の前に着いた。


「送ってくれてありがとう。また明日ね。」


私がそう言うと


「どういたしまして。じゃね。」


と言い残して歩いていってしまった。


私はそんな松村くんを
濡れながら見ていた。
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