えくすぷれすのすたるじあ
「で。何があったんだ、今まで」

しばらくして、チムサが口を開いた。

「いや、ちょっとな。大きなヤマがあったんで」
「ほう。独りで行くとは珍しいな」
「様子見に行って来ただけさ」

エムはそういって、一気に酒をあおる。

「様子見ってことは、収穫はなかったわけか」

からかうようにチムサが言うと、

「いや、まったくってわけじゃないぜ」


エムの懐から飛び出したのは、きらきらした布の切れ端。

「なんだこれ?」

チムサはきょとんとしている。
そこで、エムは声を潜めた。

「どうやら、フェアリーが住んでるらしいんだよ」
「フェアリー?あの伝説の?」

フェアリー。
手のひらサイズながらも人間のような形をしていて、空を飛ぶ不思議な種族。

「……そいつを捕まえるってのがヤマかい?」

あきれたような口調のチムサに、エムは真顔になった。

「違う」
「じゃ、何だよ」

ごくり。エムがつばを飲み込んだ。



「こいつの持ってる薬ってやつが、
 若返りの薬とかっていって、
 高く売れるんだよ。

 それを手に入れるのさ」

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