えくすぷれすのすたるじあ
「ほお」

チムサは相槌を打った。

この手の話は、エムから何べんも聞いている。
困ったことに、エムの話のほとんどがデマ情報なのだ。
なので、チムサはとりあえず本気にはしていない。

「で?ここに来たってことは?」

チムサの問いに、エムはにっこり笑った。

「独りじゃ心細いんでな。
 チムサが一緒に行ってくれると助かるんだが」


やっぱりそうか……。

チムサは心の中でため息をついた。

こういう展開は読めていたのだ。
というか、いつもこうなのだ。
そして、一緒に同行するのだが、
どうしようもない結末が待っているのも、いつものことなのだ。
エムとは長い付き合いがあるが、まあまあどうしようもないというか……。

しかし、断る道理はないのである。
チムサ自身も、何かのヤマを探していたところだったから。

「……まあ、そう来るだろうな」

そういって、チムサは酒をあおった。

「君ならそういってくれると思ったよ」

エムはにっこりと笑う。
そして、こんなことを言った。



「今回、二人じゃ不安なんで、もう一人呼んであるんだよ」


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