イチ*コイ



「美華はね…男運が悪いの。
 何回も何回も騙されて、傷付いて。
 挙げ句人間不信になっちゃって」


 人間不信…ああ、だからアイツは壁を作ってたのか。

 つーか男運って関係あんのか?

 ほんとこいつ、頭大丈夫か…?


「細かいことは言えないけど、軽い気持ちならやめて。
 遊ぶならその辺の女にして」


 真剣な目に、少し悪戯心が湧いた。

 少しずつ距離を詰めて壁に追い込む。

 幸いここは人気がない廊下、誰にも見られねぇだろ。


「じゃ、お前が相手してくれんの?」


 にやっと口許を上げる。

 テニスで鍛えた身体はいいプロポーション。

 胸も…Cくらいか?

 顔もまあまあだしな。

 もう、美華しか相手する気ねぇけど。


「ふんっ…美華に手ぇ出さないっつーんならいいけど?」


 挑発的に見上げてくる目。

 ああ…やっぱ、だめだ。

 どんだけカラダ近付けたって、何も思わねぇ。

 顔近付けたって…。

 美華だったら、心臓壊れるんじゃねぇかっつーくらい動くのに。

 まあ…大抵雰囲気が穏やかだから、そこまで心臓動かねぇけど。



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