イチ*コイ



 やっぱ気持ちあるかないかによるな…。

 さっと身を退く。


「やっぱ美華じゃなきゃ無理だわ。
 じゃーな」


 手を振って図書室に向かうべく足を進める。


「待って!」

「…何だよ」


 嫌っそーな顔をして振り返ってやった。

 間中の顔も似たようなモンだったけど。


「あんたが本気なら…協力してあげてもいい」

「は?…どーゆー風の吹き回しだよ」

「うっさい。あたしだって…美華に、幸せになってもらいたいんだよ」


 そう言った間中はどこか悲しそうだった。

 美華の過去に関係あるのか?

 俺はただ美華の笑顔が見たい。

 少しでも共通点があるんなら…利用する手はねぇ、か。

 利用できるモンは利用しねーとな。


「わかった、…協力してくれ」

「うん、じゃあ美華についてちょっと話さないとね…。
 どっか話せるとこ行こう」

「…おう」


 少し離れて歩く。

 ゆっくり教室に向かって、別々に公園で落ち合うことにした。

 一緒にいて噂されても困るし。







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