イチ*コイ







 公園は秋になるからか、どこか寂しい感じがした。

 ベンチがあったからそこに座って景色を眺める。

 美華に絡むようになったのが…春、か。

 もう秋になる。

 やけに今年はあっという間な気がする。


「大森、遅れてごめん」

「いや…ほらよ」


 自販機で買ったホットコーヒーを渡す。

 意外そうな顔をして受け取る間中。


「さんきゅ。
 …さて、どこから話そうか…」

「最初からに決まってんだろ」

「それは無理。
 プライバシーの侵害になるし。
 …乃亜のことは知ってんだよね?」


 見つめてくる目を見つめ返す。

 聞きたくなかった名前を嫌々聞き取る。

 やっぱ乃亜が関わってくんのか…。


「…おう」

「ま、あんたら付き合ってたしね。
 乃亜って外面は良くてさ、外見に騙された男たちが美華使って近寄ろうとしてたの。
 その中に…その、美華の憧れてた人もいてさ」


 胸の奥で何かどろどろしたものが溢れてくる。

 憧れの人って…男だよな。

 ちっ…どこのどいつだ。



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