イチ*コイ



「たくさん喋れる代わりに、話題は全部乃亜でさ。
 美華、中2からほとんど学校来なくなったんだ」

「は…あいつが…?」


 確かに、人見知りでビクビクしてるとこあるけど。

 そのせいで慣れんの時間かかったし。

 そいつのせいかよ…。


「それから人間不信になって…心開くの、あたしとお母さんと…お兄さんぐらいなんだよね」


 だから美華は、間中には笑ってたのか。

 どこか安心したように。

 もう…心、開かせんのは無理なのか…?


「あんたには…結構心開いてるように見えたけどね」

「…っ」

「1番重要なのは!」


 真正面に立つ間中。

 つか指差すなこの野郎。


「どんなことがあっても、諦めないこと!
 美華は押しに弱いから押して押して押して押して押しまくるのよ!」

「…りょーかい」


 こうして、俺と間中の『元通り作戦』は始まった。

 …ネーミングセンスについてはノーコメントだ。







―――――







「よお」


 逃がさねぇように真っ正面から睨み付けて、机に手をつく。

 びくびく震える肩。



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