イチ＊コイ

「取り込み中だ、どっか消えろ｣

「あのね…そうは行かないんだな、これが｣


　振り返って呆れてる廉を睨む。

　今の俺の最優先事項は美華だ。

　邪魔する奴は誰だろうが許さねぇ。


「あ、あたし…もう、行く、ねっ？｣

「あ…っ｣


　離れてく背中。

　…もう、笑い合ってた頃には戻れないのか？

　いや、諦めたら駄目なんだ。

“何があっても諦めない”んだろ？


「…で、何だよ｣


　邪魔してきた廉を睨み付ける。

　ため息を吐いて俺を見る廉。


「…何があったのかは知らないし聞かなくていい。
　けどさ…気持ちは押し付けるものじゃないんだよ｣

「……｣

「何て言ったらいいかわかんないけどさ、相手の気持ちとか幸せとか考えて行動しなきゃ。
　押し付けるだけが愛じゃないよ｣


　……じゃあ、どうすればいいんだよ。

　こんなに誰かを好きになったことなんてないのに。

　今にも胸が張り裂けそうなこの痛み。

　どうしろっつーんだよ…っ。