イチ*コイ



 時間をおいてみたけど、あの日から美華は、乃亜の言った通りさらに俺を避け始めた。

 席も離れたし、今はいいチャンスだ。


「あ…な、何?」


 まるで4月の頃みたいなよそよそしい態度。

 いい加減慣れてきたと思ったが、イラッとくる。


「……何でもねぇよ」

「そ、そっか…」


 そう言って俯く。

 俺は無意識に、拳を握っていた。

 数週間前なら、俺が何か言って

 それで美華が困って俺が笑う。

 そんな日常だったのに…。

 どうして…こんなことになったんだ…?







―――――







 徳永はあのルックスのせいか、モテているみたいだった。

 ま…どーでもいい女連れてってくれて助かるけどな。

 俺が気になんの美華だし。


「気を付けー、礼ー」


 テキトーに挨拶をして、4限目が終わった。

 4限目に数学とかありえねぇだろ…。

 教室を見回す。

 美華がいねぇ。

 今日は間中がいねぇから昼誘おうと思ってたのに…。


「斗真ーメシ食おーぜ」

「おー」



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