イチ*コイ
投げられた何かを反射的に掴む。
つめてっ…保冷剤?
「ちゃんと冷やさないといい男が台無しだぞ」
「別に…いい男じゃねぇし、」
いい男だったら女泣かせたりしねぇよな…。
強く保冷剤を握りしめたまま、俯いた。
女泣かせんのって、こんなに痛いんだ…。
…美華だけ、だけど。
「いろんな子に聞いたんだけど、お前モテるんだってな」
「……」
「遊んでくれるけど何とも思われてないってわかるから悲しいって言ってたぞ」
そりゃそーだ、何とも思ってねーし。
ただの暇潰し程度としか思ってねぇよ。
「本当に大切なものが出来たときにな、自分がしたことは返ってくるんだ」
「……」
――何も、言い返せなかった。
悔しいけど徳永の言うことは正しくて…
唇を強く噛み締めた。
「その痛みがわかって後悔して反省して、…やっと前に進めるんだよ」
「俺は……、」
「お前なら、よくわかってるはずだろ?」
そう言う徳永に、何も言えなかった。
今、どうすればいいのかわからない。