イチ*コイ
―重なり合う偶然
今日は日曜日。
ちょっとオシャレして買い物に来てみた。
薄い色のジージャンに黒のハイネック。
そして赤いチェックのワンピース。
…斗真くんと、遊びに行ったときの格好と同じ。
思い浮かんだ考えを頭を振って飛ばす。
あたしは乃亜を応援しなきゃ。
自分のことなんて考えちゃダメなんだよ…。
ショーウインドウを眺める。
可愛い服…あたしには、似合わないな…。
「美華ちゃん?」
「え、あ…えと、ユカリさん」
振り返ると茶髪で巻き髪の美人さんがいた。
確か美容院の…ユカリさん。
「どうしたの?斗真は?」
「…さぁ、あたし…斗真くんのこと、よくわかんなくて…」
ユカリさんの優しい笑顔に本音が零れる。
だって…何であたし?
乃亜のほうが可愛くて明るくて…いい子なのに。
「美華ちゃん、ちょっとお茶しましょ」
「え…あ、はい」
無言でユカリさんに着いていく。
後ろから見ても凄く綺麗。
ユカリさんは…斗真くんと、どんな関係なのかな。
わかんないや…。