イチ*コイ



 わかんねぇから、こんなに悩んでんだろ…!?


「俺だって考えてるよ!
 けどどうすりゃいいかわかんねーから悩んでんだろ!?
 今更なこと言ってんじゃねぇよ!!」

「考え方が甘いんだよ!!
 だから美華ちゃんのこと泣かせてんだろ!?」

「泣かせ…っ!」


 思い浮かぶ美華の泣き顔。

 その途端、胸が痛くなった。

 俺は、笑ってほしいだけなのに…。


「はぁっ、…俺も考えるからさ、地道に頑張ろう」

「廉…悪いな」

「いいよ、俺も言い過ぎたしね」


 廉と言い合ったからか、なんかスッキリした。

 けど美華に対してどうすればいいのかわかんねぇし…。

 結局振り出しに戻んのかよ…。

 記憶の中で君が笑う。

 時間が経つにつれて、薄くなっていく。

 このまま美華の笑顔を忘れるなんて嫌だ。

 何が何でも、取り返してみせる。


「…そういえば、もうすぐ文化祭じゃん」

「あ?ああ…けど関係ねぇだろ」


 俺ら帰宅部だし。

 クラスでも何するか決まってねぇし。

 いや、決めたんだっけか?

 キョーミねぇから知らねーや。


「うちのクラスはわたがし屋だよー。
 4組はメイド喫茶とか言ってたけど」

「…はあ?」



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