イチ*コイ
…とりあえず乃亜の言いなりにはなんねぇけどな。
あと徳川には負けねぇ。
それは決定事項だ。
―――――
パスを受け取ってドリブルしながら前に進む。
周りにいる奴等が邪魔で、イライラしてきた。
「…チッ」
あいつは、……どこにいる?
避けるのも面倒で腕を回した。
そのままボールは真っ直ぐリングに進み、ボードに当たって…リングを通って床に落ちた。
「ハッ…」
「3ポイント!」
そこでちょうど時間切れ。
俺らは決勝に進むことになった。
「斗真ー、お疲れ!」
「……おー」
絡んできた廉の相手をする。
疲れてるからこのテンションうぜぇんだけど…。
「決勝進むとか、珍しく頑張ってんじゃん!」
「珍しくは余計だ」
目だけ動かしてアイツを探す。
いねぇし…はあ。
「美華ちゃんはサッカー見てるよ」
「……はあ?」
「午前はサッカー見て午後はバスケ見るんだってさ」
「……ふーん」
午後、ねえ。