イチ*コイ



 …とりあえず乃亜の言いなりにはなんねぇけどな。

 あと徳川には負けねぇ。

 それは決定事項だ。







―――――







 パスを受け取ってドリブルしながら前に進む。

 周りにいる奴等が邪魔で、イライラしてきた。


「…チッ」


 あいつは、……どこにいる?

 避けるのも面倒で腕を回した。

 そのままボールは真っ直ぐリングに進み、ボードに当たって…リングを通って床に落ちた。


「ハッ…」

「3ポイント!」


 そこでちょうど時間切れ。

 俺らは決勝に進むことになった。


「斗真ー、お疲れ!」

「……おー」


 絡んできた廉の相手をする。

 疲れてるからこのテンションうぜぇんだけど…。


「決勝進むとか、珍しく頑張ってんじゃん!」

「珍しくは余計だ」


 目だけ動かしてアイツを探す。

 いねぇし…はあ。


「美華ちゃんはサッカー見てるよ」

「……はあ?」

「午前はサッカー見て午後はバスケ見るんだってさ」

「……ふーん」


 午後、ねえ。



< 136 / 238 >

この作品をシェア

pagetop