イチ*コイ



 そのとき…美華と、目が合った。

 俺の時間は止まって、目が離せなくなった。

 けど美華はすぐに目を逸らして…また、俺を見た。

 なぁ…お前、気付いてる?

 理由はわかんねぇけどさ…泣きそうな顔、してる。

 俺、お前の笑顔が見たいんだよ。

 遠くからでいい、だからお前は笑えよ。

 美華の口が動く。

 遠くてよく見えないくせに…お前の言いたいことはわかるんだ。


『が ん ば っ て』


 泣きそうな顔で、君が笑った。

 …どーせなら、満面の笑み見せろよ。

 汗をかいた頭を掻く。

 仕方ねぇ…やってやるか。

 きっと、誰も知らない2人のヒミツ。

 美華はもう俺と目を合わせなかった。

 目が合うだけで、こんなに嬉しくて

 涙見ただけで、こんなに苦しくて

 ――これが恋、なのか?



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