イチ*コイ



 そう言うと、何故か不機嫌そうな顔になった斗真くん。

 あ、あたし何かしちゃったかな…!?

 あわわ…ど、どうしよう…。


「…パンフよろしく、感想聞かせてね、って…」

「…そうか、じゃあ行くぞ」

「え…っ」


 い、行くの!?

 こんなに気まずい雰囲気なのに!?

 背の高い斗真くんを見上げる。

 今日もカッコいい…て、違う違う!


「言う通りにしとかないとうざいぜ。
 アイツ映画マニアだからな」

「…う」


 でも、でもこんなの…デート、みたい。

 なんて自分で考えて照れてしまった。

 ほんとはデートなんかじゃないのに。

 斗真くんは嘘を吐かないから、きっと櫻沢くんのことは本当。

 斗真くんは…嫌々かも、しれないけど。

 でも斗真くんは少しでも嫌だって思ったら行動しない人だから。

 少しだけ…夢を見ても、いいですか?


「……うん」







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