イチ*コイ
コイツと、ケイさんを会わせるわけにはいかない。
ケイさん相手じゃ俺も勝てるかわかんねぇし。
やっと、告白できたんだ。
これから落としていくのに、ぶっちゃけケイさんは邪魔だ。
「――わかるかっ!?
俺は悩んで悩んで悩んで悩みすぎて、ついに今日になっちまったんだよ!!
いや候補はあるんだ、明日クリスマスデートするか、何でも好きなもの買うか、それともここは思いきって俺のキスか!!
どれがいいと思う?」
「とりあえず最後のはやめたほうがいいと思います」
「何でだよっ!!」
また肩を掴まれる。
やべ、油断してた…!
また強く押し付けて、前にいるケイさんを睨む。
そしたら、何故か固まっていた。
「…ケイさん?」
「斗真くん、痛い痛い!
腰の骨折れちゃうよ!」
そんな叫び声に腕を緩めた。
前にいる無駄にイケメンな人は警戒したまま。
ふ、と…俺の肩越しに美華とケイさんの視線が交じり合う。
「…何でお前が…斗真と」
「そ、それあたしのセリフ!」
え…もしかして、知り合い?
イトコか何かとかか?
案外世間って狭いからな…。
なんて考えてたそのとき。
「つーかお前はいつまで俺の美華にくっついてんだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「恒兄!そうゆうこと外で言わないでよ!」
「恒兄言うな可愛くないっ!
お兄ちゃんって呼びなさい!」
お兄ちゃん…って…
俺の頭、ショート寸前。
いや…ショート、した。
意識がブラックアウトしていく。
「え…とぅ…っ!」
……世間、狭すぎるだろ……。