イチ*コイ
見つめてくる視線に冷や汗が出た。
大きな大きな瞳。
「…斗真、連れてきたんだってね」
「あ…た、倒れちゃって」
「ふーん…まあいいけど。
あたし、これから遊んでくるから」
え…これからっ?
時計を見て時間を確認した。
もうすぐ19時…。
冬だからもう外は暗いのに。
「だめ、もう外暗いんだから!」
「あんたには関係ないっ!」
「乃亜っ!」
そう言ってリビングを出ていってしまった。
少ししてから玄関のドアが開閉する音が聞こえた。
もう暗いのに…。
やっぱりあたしじゃ、だめだなぁ。
恒兄に言って連れ戻してもらわなきゃっ。
コーヒーを乗せたトレーを慎重に持って階段を昇る。
ドアノブに手を掛けようとしたそのとき、恒兄の声が聞こえた――。