イチ*コイ
「美華のこと、マジじゃなかったら消えろ」
「……マジです」
睨んでくる目を睨み返してそう言った。
マジじゃなかったらこんなに想ってるかよ…。
こんなに、執着するかよ。
この俺が、さ。
「…そうか」
「あの、聞きたいことあるんですけど…いいですか?」
「何だ?」
小さく深呼吸した。
間違ってたら恥ずいし。
「ケイさんって…誰なんすか?
美華、“コウニイ”って呼んでたでしょ」
「…どっちも俺だぜ?
ただ、ケイってのは偽名。
本名は恒星(コウセイ)だから、頭文字を取ってケイだ」
なるほど…だからケイ、か。
つか何で偽名使ってんだ?
何かヤバイことしたとかか…?
「恒星っつったら俺だってバレてバイトできねぇんだよ。
女に追いかけ回されちまってさ…あそこもそろそろヤバいし」
さりげなく自慢してやがる。
まあ納得だけどな。
俺だって恒星って名前くらい知ってる。
どんな女だって落とす、最強の色男。
時にはその美貌で男まで落としちまうとか。