イチ*コイ
思わず思考が止まった。
……何だよ、それ。
ただ、そんくらいのことで?
双子だから余計に比較されんのかよ?
間違ってんだろ…っ。
「『乃亜は可愛い、お前は可愛くない。
ブスは美人のオマケなんだから乃亜の言う通りにしろ』
そう言われて美華は育ったんだ。
もちろん俺や母さんがフォローしたけどダメだった。
乃亜も…そう言われてるとこを見て、実際にいいなりになるとこを見て、性格が歪んで行った」
……俺が美華に言い続けた、見た目が全てっつー言葉は
美華を傷付けていたのか?
そう言われて育ったから、自然に俺から離れた?
何の疑問も抱かずに?
「…っ、そんなの……!」
「美華が、可哀想だよなぁ…っ。
それが普通だって思ってんだよ、そのせいで他の男に利用されたりしたのに…っ!」
感情が昂って抑えられない。
握った拳をベットに叩き付けた。
柔らかい感触に衝撃が吸収される。
何でアイツは…こんなに面倒な人生送ってんだよ。
普通に生きてきた奴なんて腐るほどいんのに…。