イチ*コイ



「ぐすっ…あ、あたしも…っ…斗真くんのこと、好きぃ…っ!」

「っ…美華、」


 肩を掴んで身体を引き離した。

 俺を見つめる真っ赤な顔。

 潤んだ目が真実だと伝えてきた。


「っ…好き」

「……俺も」


 柔らかな頬をそっと包む。

 至近距離で顔を止めて、微笑んだ。

 なんだろう…胸の奥が熱い。

 それでいてぽかぽかしていて…ああ、これが幸せなんだ。

 美華も微笑み返してきた。

 涙を拭って、顔を近付けた。

 柔らかくて暖かい、美華の唇。

 そう言えば前に無理矢理キスしたんだっけ。

 謝っとかねぇとな…なんて思ったけど、今はこの幸せに浸っていたい。

 可愛らしくちゅっと音を立てて唇を離す。

 見たら真っ赤な美華の顔。

 やば…可愛すぎる。

 襲っちゃ…だめだよな、うん。

 大事にしたいし。


「斗真くん…」


 けどとろんとした目の美華はやばい。

 とりあえず訂正しとくか。


「斗真、…くんはいらねぇよ。
 彼女、なんだから」


 何か自分で言ってて照れた。



< 160 / 238 >

この作品をシェア

pagetop