イチ*コイ
そんなこと言ったことねぇし。
今までテキトーに付き合ってたから…。
けど美華は今までの女とは違うし、ちゃんとしたい。
一息吐いて、美華の目を見る。
「好きだから、…俺と付き合って」
うっわ…まじめに照れる。
顔熱いし…だっせー。
「喜んで!」
にっこり笑って言う美華。
やっぱこいつ…ケイさんの妹だわ。
知らない内に振り回されてる。
しかも本人たちは気付いてねぇし。
…負けてらんねぇ。
「…名前、呼んで」
「え…っ」
「呼べよ」
耳元で囁く。
振り回されるとか、嫌だし。
いつでも優位に立つのは俺でいたい。
「呼べないよ…っ」
「呼べって、じゃなきゃ襲うぞ」
「っえ…!!」
これ以上ないってくらい赤くなる美華の顔。
ククッ…遊びすぎたか?
「そういやぁお前、彼氏居たことあるか?」
「ん…うーん、微妙なのが1人…」
「はあ?」
まじかよ…。
胸の奥からどろどろしたモンが溢れてくる。
ああ…これ嫉妬だったんだな。
今やっと気が付いた。
「いつ?」
「小学…3年生?のとき」
小3って…ガキじゃん。
嫉妬して損した…。
「で?」
「でって…好きって言われて、あたしも好きって言って…終わり」
「それで終わりかよ」
まあ確かに…そんなんあったら、ちゃんと確認したくもなるよな。
俺の中でそいつはカウントしないことにした。
じゃあ俺が初カレじゃん。
うわ…なんか、にやける…。
「斗真くんが初めての彼氏だねっ!あ…」
「そーだな…うん、お仕置きな」
「ちょ、ま…っ、あははっ」
お仕置きとして、くすぐりの刑。
こんなの初めてだし。
やっぱ美華は特別…だな。
笑い転げる美華を見て、俺も笑った。