イチ*コイ
「ひゃっ…!な、何っ?」
「お前のほっぺた、つめてー」
「だって冬だし、って…さっき斗真が言ってたじゃん」
呆れたように笑う美華を先に改札に通す。
なんか…うん。
こんな風にくだらないことで笑い合って
一緒に登校出来んのも、1ヶ月しかないんだよな。
そう考えたらもっと早く告っとけばよかったと思う。
時間もったいねぇし…。
「ね、こうしたら暖かいよ?」
左手に手袋をつけて、繋いだ手の間にカイロを入れる。
…カイロに邪魔されてるみてぇ。
恋人繋ぎだからちょうど挟まってるし…はあ。
本当コイツって、鈍感だよな…。
「やだね」
「あ…っ」
カイロを取って自分の右ポケットに入れる。
そして美華と繋いでる左手もコートのポケットに入れた。
うし、これでいいだろ。
そう思って美華を見れば頬を赤くして照れてる。
だから…そんな顔されたら俺も照れるんだって。
手を繋いだまま電車に乗る。
美華に時間を合わせたせいか、まだラッシュ時じゃないみたいだ。
ラッシュだったら潰されて危ねーしな。