イチ*コイ



 やべ…俺もにやけそう。

 何もわかってねぇのは美華1人。

 ま…たまにはこんな奴もいたほうがいいよな。







 俺の席は美華より後ろだから授業中は見放題だ。

 けどやっぱ眠いわ…。


「ふあぁ…」


 机に突っ伏して、また美華を見る。

 あとでノート見してもらおう。

 んじゃ…おやすみー。

 そんな感じで時間は過ぎて、もう放課後。

 掃除も終わったし、あとは帰るだけだ。

 鞄を持って美華に近付く。


「帰るか」

「うんっ」


 美華が振り返って、間中に手を振る。

 そしたら何故か、教室にいた奴等のほとんどが手を振り返してきた。

 一応…祝われてるんだよな。

 思いっきりにやけながら見られてっけど。

 教室を出て、さりげなく美華の鞄を持つ。

 何かもう、癖だな。

 姉貴に仕込まれたからだ。


「えっ…いいよ、自分で持つから!」


 手を伸ばしてきて持ち手を掴む。

 いや、ここは譲れねぇ。

 やっぱ本命だし、優しくしたいし。



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