イチ*コイ



「そっか…でも、軽いから大丈夫だよ。
 ありがとう」


 ふんわりと微笑む美華。

 何か今、美華の良さがわかった気がした。

 今までの女は持たせてもありがとうとか言わなかったし。

 言ったとしても心から思ってることじゃなかった。

 けど美華は…心からそう思って、言ってくれる。

 うわ……まじ俺、ベタ惚れじゃね?


「…重いとき、半分持ってくれる?」

「普通に全部持つし」


 小さな頭を撫でる。

 こういう謙虚なとこ、日本人だなって感じる。

 やっぱ俺、美華じゃなきゃダメだわ…。

 手を繋いで歩き出す。

 それだけで赤くなる美華。

 いつまで経っても変わんねぇなぁ。

 変わらないモノを見つけて、笑った。

 そしたら美華も笑って、日常が輝いた気がした。


「今日うち来る?」

「え…っ?」

「姉貴が会いたいってさ」

「あ…うん、大丈夫っ」


 姉貴はよほど美華を気に入ったらしい。

 逃がすなって言われたのもあるし、付き合うって言ったら喜んでた。

 んで、会いたいから連れて来いだと。



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