イチ*コイ



 リビングには予想通り、親父とお袋がいた。

 心なしか美華を見て目を輝かせてる。


「初めまして、斗真の父と母です」


 お袋が笑いながら言う。

 親父も微笑みながら美華を見る。

 うちは女が強いからな。


「は、初めまして!
 九条 美華と申します!」

「ぶっ、堅…!」


 ほんと変わんねぇなコイツ…。

 顔を赤くして俺を睨んでくるとことか姉貴のときと同じだし。

 怖くねぇとこも同じだし。


「和泉から話を聞いててね、会ってみたかったの」

「え、そうなんですかっ?」


 姉貴め…余計なことを。

 そう思って姉貴を睨んだ。

 普通に無視されたけど。


「美華さん、斗真をよろしくお願いします」


 静かに頭を下げる親父。

 よろしくって…どーゆーノリだよ。


「っ…はい!」

「お前もかよっ」


 つい突っ込んで頭を叩いた。

 それに美華が反応して、俺が笑って…親父たちも笑った。

 こんな風に笑い合うとか、何年ぶりだ?

 やっぱお前はすげぇよ…。

 笑ってる美華がどこか誇らしかった。



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