イチ*コイ



 …この柔らかさ、落ち着く。


「ごめんね、…ありがとう」


 笑いながら心では正反対のことを考えた。

 ちゃんと認めさせねぇとな…。







―――――







 次の日、ある決意を胸に午前の授業を過ごした。

 計画を実行するのは昼休み。

 早めに飯を食って、美華と間中のところに行った。


「美華、ちょっと来い」

「ん?うん、何?」


 弁当箱を片付けて俺に寄って来る。


「こいつ借りるから」

「いってらっしゃーい」


 疑問符を浮かべた美華をそのままに、教室を出た。


「斗真、どこ行くの?」

「ヒミツ」

「えー、教えてよーっ」

「着いてからのお楽しみ」


 鼻唄を歌いながら手を繋いで歩く。

 前は真っ赤になってたけど最近は少し慣れたみたいだ。

 まだ頬赤いけどな。

 こーゆーとこ、好きだ。

 着いたのは放送室。

 まだ放送やってるし、中にいんだろ。

 ノブを回して中に入る。


「え…斗真っ!?」

「な、何ですかっ!?」

「借りるぞ」



< 181 / 238 >

この作品をシェア

pagetop