イチ*コイ
…この柔らかさ、落ち着く。
「ごめんね、…ありがとう」
笑いながら心では正反対のことを考えた。
ちゃんと認めさせねぇとな…。
―――――
次の日、ある決意を胸に午前の授業を過ごした。
計画を実行するのは昼休み。
早めに飯を食って、美華と間中のところに行った。
「美華、ちょっと来い」
「ん?うん、何?」
弁当箱を片付けて俺に寄って来る。
「こいつ借りるから」
「いってらっしゃーい」
疑問符を浮かべた美華をそのままに、教室を出た。
「斗真、どこ行くの?」
「ヒミツ」
「えー、教えてよーっ」
「着いてからのお楽しみ」
鼻唄を歌いながら手を繋いで歩く。
前は真っ赤になってたけど最近は少し慣れたみたいだ。
まだ頬赤いけどな。
こーゆーとこ、好きだ。
着いたのは放送室。
まだ放送やってるし、中にいんだろ。
ノブを回して中に入る。
「え…斗真っ!?」
「な、何ですかっ!?」
「借りるぞ」