イチ*コイ



 驚いてる放送委員2人を追い出して鍵を掛ける。

 放送室の鍵は1つっつってたし、これで邪魔入んねぇだろ。

 音楽を止めて窓を開けて、声の調子を整えた。


「斗真…何する気…?」

「まあ見てろって」


 不安気な美華に微笑みかけて、マイクをオンにする。

 失敗は許されねぇ…。

 んでもってチャンスは1度きりだ。


「あーあー、マイク入ってるか?」


 開けた窓の外から俺の声が聞こえてくる。

 よし…ちゃんと入ってるな。

 窓を閉めてマイクのところに戻る。


「俺は3‐6の大森 斗真。
 全校生徒に伝えたいことがあって放送室をジャックした」

「斗真…?」


 ちらりと美華を見る。

 小せーことしたってしょうがねぇ。

 だったら1発、どでかいのぶち込むだけだ。


「美華に手ぇ出すんじゃねぇ。
 九条 美華は俺の女だ。
 文句があんなら正々堂々かかってこい」

「っ…」

「美華よりイイ女が存在するっつーんならな。
 存在しねぇだろーけど」


 こんなに真っ直ぐで純粋な女、他にいるか?



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