イチ*コイ
俺しか映らない世界。
ずっと俺だけ…見てればいいんだ。
「斗真…ぎゅって、して…?」
「…ん」
強く強く、抱き締めた。
ぬくもりを感じて、美華を感じれるのに
心はどこか焦ってる。
美華は俺から離れていかないだろうか。
俺のこと、嫌いにならないだろうか。
不安で不安で仕方ない。
こんな気持ち、初めてなんだ。
どうすればいいのかわからない。
「斗真…あたしのこと見て」
「見てる、…お前しか見てないよ」
ああきっと、美華も同じなんだ。
そう思えば少し、心が安らいだ。
一生離れない…ずっとそばにいる。
俺は静かに、そう誓った。
あの頃の俺たちはまだ子供で、愚かで
今が幸せなら、なんて考えていた。
幸せのあとには不幸があること、知っていたはずなのに…
今が大事すぎて忘れていたんだ。
お前はずっと考えていたんだよな…美華。