イチ*コイ
美華の小さな手が俺の頬を包んだ。
少し冷たくて気持ちいい。
「思ってること…言ってよ。
言葉にしなきゃわかんないよ」
大きな目を見れば、なんとなく素直になれる気がした。
美華の目はいつでも優しい。
心が暖かくなるような、そんな不思議な目だ。
「…お前が、誰かに取られそうで怖い」
「…うん」
「どっかに行って、もう帰ってこなかったらって考えたら…離せないんだ」
あー言っちまった。
俺、だっさ…。
1年前の俺が見たらきっと鼻で笑ってる。
自分でも怖くなるくらい、美華が好きなんだ。
「…必要って、思ってくれてるんだね」
「…おう」
「ふふ…こんな斗真置いて、他の人のところになんか行けません!」
手を離して抱きついてくる。
困惑しながら俺も抱き締め返した。
「あたしだって斗真が必要なんだもん。
絶対離れないよ!」
そう言って笑った美華は今まで見た中で1番可愛くて
“愛しさ”が溢れ出した。