イチ*コイ
「…振られちゃった。
まあ最初からわかってたけど」
「っ…はあー」
心臓止まるかと思ったぜ…。
廉には悪ぃけど安心した。
「…悪いな」
「いいって、最初からわかってたし」
「……」
振られるのがわかってるのに、何で人は気持ちを伝えたがるんだろう。
俺だってそうだった。
ただ諦められなくて、追い続けたんだ。
「…廉」
「…行けよ、美華ちゃんに会いたいんだろ?」
笑顔が笑っているように見えなかった。
ずっと一緒にいたからなんとなくわかる。
けど今、俺はここにいないほうがいい。
振った奴の彼氏、なんだから。
「…また明日な」
「おー」
いつも通りに別れた。
これでいいはずだ。
俺らはもうガキじゃねぇんだから。
…つーかアイツの本命って、美華じゃなくて……
……いや、あれは初恋か。
図書室に行くと、美華はあの日のように奥の席に座っていた。
本を読まないでぼーっとしてる。
「…美華、」
「っ…斗真っ?」