イチ*コイ
―“ありがとう”と“愛してる”
2月になって、ようやく時間に余裕が出来てきたこの頃。
俺たちは相変わらずいつも一緒にいた。
「美華」
「あ…斗真っ」
駆け寄ってきた美華を抱き締める。
頬っぺた冷てぇし…。
こいついつからいたんだ?
「いつから待ってたんだよ」
「んーと…15分くらい前かな?」
いつも美華は待ち合わせのとき、俺より先に来てる。
待たさねぇように早く行っても必ずいる。
今だって約束の15分前だ。
「ったく…、風邪ひくぞ」
「大丈夫だよー……、くしゅっ」
「言わんこっちゃねえ」
手を繋いで歩き出す。
今日はバレンタインデートの予定だったが…しゃーねぇな。
美華が風邪ひいたら意味ねぇし。
「と、斗真…?
行くのあっちだよ??」
「今日は家デートに変更」
「えっ?」
「こんなに身体冷やしやがって…くそっ」
繋いだ手をポケットに入れて暖める。
手袋くらいして来りゃいいのに…。
ニーソ履いてたって生足は寒いだろ。