イチ*コイ
1† 正反対の俺とお前

―ダサいあいつ




 大森 斗真 17歳――高3


「ねぇ斗真ぁ〜今日遊ぼうよ」

「あぁ、わり…今日約束あるんだ」


 そう言いながら何も入ってない鞄を掴む。


「えぇ?昨日明日って言ったのにぃ…」

「彼女は優先しなきゃだろ?
 じゃあまたな」


 軽いリップ音をたてて、こめかみから唇を離す。

 それだけで機嫌が直る、猫なで声の女。


「今度絶対ね?」


 適当に手を振って教室を出た。

 “彼女”の教室は隣の隣。

 けど女待たせるわけにはいかねぇし。

 俺は大股で足を進めた。


「あ、斗真!」

「…乃亜(ノア)」


 駆け寄ってきた乃亜を見て、小さくため息を吐いた。

 これでわざわざ行かなくてすむ。

――九条 乃亜

 一応俺の、今の彼女。


「ごめん、ちょっと図書室寄っていい?」

「お前本なんて読むの?」


 にやりと笑う。

 乃亜が本読んでるとこなんて見たことねぇし。


「ひっど!仕方ないじゃん、調べ物押し付けられたんだから〜」

「はぁ、さっさと行って帰ろうぜ」



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