イチ*コイ



「あ!申し遅れました、九条 美華と申します…!」

「何だそれ、堅っ!」


 美華の挨拶に噴き出す。

 今どきンなこと言わねぇだろ。


「〜大森くん…!」


 顔を真っ赤にさせて睨んでくる。

 ぜんっぜん怖くねぇけど。


「美華、ね。いい名前だわ」

「あ、ありがとうございます…っ」

「あなた、少し自信を持てばすごく変わるわ。
 頑張って」

「え…」


 穏やかに美華を見る姉貴。


「女の子はいくらでも変われる。
 変わる意志があるなら、ね」

「っ、はい!」


 これで美華にも、少しは自信がついただろう。






―――――







 翌日、待ち合わせの駅に向かうと美華はもう来ていた。


「美華、」

「あ、大森くん。おはよう」

「早いな…」


 これでも一応10分前に着くようにしたのに。

 女が先にいるとか、初めてじゃね?


「そうかな?
 でも大森くんも早いと思うよ」

「そ…んじゃ行くか」

「うんっ」


 美華の私服は、案外…ダサくなかった。

 派手じゃあないが、シンプルな中でも可愛いって感じ。



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