イチ*コイ



「…さんきゅ」


 中には4つのトリュフが入っていた。

 少しイビツな丸のトリュフ。

 不器用なのに…俺のために頑張ってくれたんだなぁ。


「ごめんね、形悪くって…。
 器用だったらもっと美味しいの作れたんだけど…」

「いいって、…うれしい」


 包装紙を取って口に運ぶ。

 あんまり甘くなくて美味い。


「あの…ほんとはね、お弁当とか作りたいんだけど…不器用でごめんね」

「だからいいって。
 その内上手くなるもんだろ?
 美味いよ、これ」

「本当!?よかったぁ…。
 手作りって、初めてしたから…不安で」


 悲しそうな顔から笑顔に変わる。

 …うん、泣きそうな顔もそそるけど、やっぱ笑顔が1番だよな。

 それにしても手作り初めてとか…むちゃくちゃ嬉しいんだけど。


「…食ってみる?」

「え?」


 トリュフを口に入れて美華を引き寄せる。

 はだけたシーツに驚いてる内に口に侵入する舌。


「んう…」


 舌と舌を絡めてトリュフを溶かす。

 ドロドロに溶けたチョコを塗り込むように舌を強く吸った。



< 204 / 238 >

この作品をシェア

pagetop