イチ*コイ



「ふっ…そうか」

「うん…だから、ありがとう」


 にっこり笑う美華が愛しくて、照れくさくて

 意味もなく髪をぐしゃぐしゃにしてやった。


「わ、なっ何?
 ぐしゃぐしゃになっちゃったよ…!」

「すでにぐしゃぐしゃだろ」

「もう…ねえ、変なこと聞いてもいい?」

「何?」


 手櫛で髪を整えながら俺を見てくる。

 こうやって見たら…やっぱ、肌綺麗だよな。

 メイクとかしないからか?

 今日もリップくらいだったし。


「…斗真はどうして、あたしを選んでくれたの?」

「…知らねぇ」

「えーっ、教えてよ!」


 ちっ…めんどくせぇな。

 どうして選んだのか…とか、知らねぇし。

 ぶっちゃけどこ好きになったのかもわかんねぇし。

 …それ行ったら怒るか?


「…わかんねぇけど、気付いたらお前が好きだった」

「…本当?」

「…こんなことで嘘吐いてどうすんだよ」


 零れそうな涙を拭う。

 美華は最近、すぐに泣く。

 情緒不安定なのかもしんねぇ。


「…じゃ、お前は?」

「…え、と」

「言えよ」



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