イチ*コイ
あ、そう言えば。
「前家行ったとき思い出したんだけど、何でブサウサ気に入ったんだ?」
「ブサウサ…?」
「俺が取ってやったツギハギのウサギだよ」
「ああ!あれね」
お前の認識じゃああれはブサウサじゃねぇのか。
どう見たって可愛くねぇと思うんだけど。
「なんかねーあたしに似てる気がしたんだよね」
「はあ?あのブサウサが?」
「うん」
それはきっと、美華の心情によるもので。
きっと俺にはわからないものなんだ。
「…ん」
「え、これ…」
「開けてみろ」
包装紙を取るとこを見る。
中身は、キングペンギンのぬいぐるみ。
「…キングペンギン?」
「俺の中では、お前はそんな感じ」
ぴこぴこ後ろついてきて、いつも何考えてんのかわかんねぇんだ。
でも存在感がある、そんな感じ。
「ありがとう…!
大切にするね!」
「おー」
嬉しそうにぬいぐるみをいじる美華。
もうすぐ…卒業だ。
こうやって会うのも、少なくなるんだろう。
そう言えば…美華の進路、聞いてねぇ。