イチ*コイ



 俺と一緒にいたって、すぐに飛んでいってしまいそうで。

 ずっと、一緒にいたかった。

 例え離れたって…お前が好きだから。

 別れたくなかったのに…。

 どうしてお前は、この答えを選んだんだ?

 好きなのに、別れなきゃいけない。

 そんなことがあるなんて、俺は知らなかったよ。

 フィクションだけの世界だと思ってた。

 あのときの乃亜も、こんな気持ちだったんだろうか。

 ふと、廉に言われたことを思い出した。


『人にしたことは自分に返ってくる』


 だからって…さ。

 消えかけた文字を見る。

 あの日、美華が言った言葉。


『最後に楽しい思い出が出来てよかった。
 ありがとう』


 もしかして今日も、そう思っていたのか?

 最後の思い出だって…。

 だから、北海道の約束も曖昧で

 不器用なのに弁当も作ってくれて。

 最後の思い出、だから。

 けど俺はよかったなんて思えねぇよ。

 自分がこんなに女々しいとは思わなかった。

 なあ…お前に何も、伝えてないのに。

 本当に俺たちは、これで終わりなのか…?



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