イチ*コイ
「あたしがお姉ちゃんって呼ぶ度に、みんなに認めてほしかった…!」
でもケイさんに負けないくらい、美華が好きなんだよ。
2人の小さな頃が思い浮かんだ。
少しわがままな妹と、笑って世話をする姉。
こいつらは、誰よりもお互いをわかっていたんだ。
どんなことがあっても、笑って受け止めてくれる美華。
羨ましい、ただそれだけだったんだな…。
自分には、出来ないから。
美華は眩しい光だ。
どんな奴だって引き寄せてしまう。
そしてそれを邪険にしない。
徳永が言っていた、盲目的にさせる何かっつーのは…
…そうゆうこと、なのかもしれない。
だって俺もケイさんも間中も…乃亜も
みんな美華に対して、盲目的だから。
「っお姉ちゃんは、あたしのせいで人間不信になっちゃったけど…だからこそ、斗真に頼みたい。
……お姉ちゃんを、幸せにして…っ」
そう言って泣く乃亜がどこか美華と被った。
俺の思い描く幸せは、もう叶わない。